★外食産業を動かす人々
役割は外食業界活性化への「後押し」
反転攻勢を見据えた側面サポートを
日本フードサービス協会会長 赤塚 保正氏
■1月1日号の主な内容
★トップ記事
「フードテック」が変える飲食業の景色
データ分析が拓く「新たな飲食店像」を探る
２０２０年は新型コロナウイルスで大きなダメージを受けることになった外食業界だが、その中で大きく進展したのが、フードテックの導入だろう。「フード＋テクノロジー」から名付けられたフードテックは、コロナ禍により生産性の向上や業務の効率化、非接触・非対面が求められたことで、一躍、注目の的となった。これからアフターコロナを見据えて事業を拡大していくには、多様なサービスの中から、いかに自社に合った「フードテック」サービスを見極め、うまく活用するかがカギとなるだろう。今回、独自のノウハウでデータを分析することで、新たな視点を飲食店に提供する３社に注目し、飲食店の近未来をトレースしてみた。
チェーン展開している店の経営者であれば、同じ業態で似た立地であるにも関わらず、店舗によって売上に差が出た場合、その原因がどこにあるのか、頭を悩ませることだろう。また、あるスタッフが入っている時は回転率が上がることがはっきりしていても、なぜそのスタッフがいる時にだけうまく回るのかを見つけ出し、それをノウハウとしてヨコ展開することは意外と難しい。
飲食店を中心としたサービス業のオペレーションの構築・改善サービスを提供するトリノ・ガーデン（東京・外苑前、中谷一郎社長）は、クラウドカメラを活用して、人の流れとオペレーションを見える化することで、生産性の向上や業務効率の改善に寄与する仕組み作りを手助けするサービスを開発し、多くの実績を上げている。
同社はクラウドカメラを使い、調理場やホールをさまざまな角度から撮影。厨房やホールでのスタッフの動き、お客さんの反応、モノの配置や動線、ＢＧＭや掛け声の音量、バッシングのタイミングなど、店内のさまざまな動きを一つひとつ細かく、他社では真似のできない正確さで計測することで、どこに改善ポイントがあるかを見つけ出すサービスを提供中だ。
具体的に何を計測するかの一例を挙げると、①同じ店で働くスタッフのＡさんとＢさんが１時間で何皿仕上げたかや調理の各工程でかかった時間②お客さんに視線を送っている回数③掛け声のタイミングや音量④バッシングにかかった時間や動きの比較⑤お客さんが店員を探すそぶりを見せた回数⑥お客さんのドリンク残量がどの程度になった時に追加注文を取れば効果的か──など、非常に細かい点まで計測・比較する。
その結果から改善できるポイントについて仮説を立て、その仮説を確かめるために、再び録画・計測。さらに次の仮説を立て録画・計測というサイクルを繰り返しながら、問題点と改善点を見つけ出す。
中谷一郎社長は、もともと店の前の通りを男性が何人、女性が何人、トラックが何台通ったか、テーブルに料理が来るまでどのくらいかかったかなど、さまざまなものを計測することが好きで、10年前から事業とは関係なく、私的にサービス業の店舗のさまざまな人やモノの動きを計測し、データ化していたという。
それから数年経ったある時……
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