★外食産業を動かす人々
食卓を少しずつ良いものに変える
地位向上に向けた社会的な活動を
和音人 代表取締役 狩野 高光 氏
■10月25日号の主な内容
★トップ記事
和音人・狩野高光氏の新連載がスタート!! 1~3話 一挙掲載スペシャル版
食に携わるプロとして食の「選択肢」を未来につなぐ責務がある!!
食士道(しょくしどう) 外食人としてどう向き合うか――未来へつなぐ「食のカタチ」
第一話 プロのいない世界
まず始めに、多くのリスクがあるにも関わらず、このコラムを発信するという決断をして頂いた、川端崇嗣編集長に心からの尊敬と敬意を。
僕のことを知らない人がほとんどだと思うので、少しだけ自己紹介させてほしい。和音人という会社で飲食店舗を6店舗、vin le riz(ヴァン・ル・リ)という会社で物販店舗を1店舗と農業事業を行っている。
2020年は、新型コロナの影響により、マルノワホールディングスという会社も立ち上げ、手作りの自然調味料の販売を始めた。3社で統一しているのは「素晴らしい日本の食文化で、未来を作る子どもたちが誇れる食育を創造する」という理念と「『食卓の、さしすせそ+あ。』から変える」という目標を掲げていることだ。
さて、本題に戻ろう。
プロのいない世界。これは僕たちが生きる食の世界のことである。
ある時、僕が目にした記事に「日本の高校生4割が生活習慣病予備軍」という内容のものがあった。
実際、生活習慣病予備軍と呼ばれるまでには、栄養バランスなどを考えない悪質な食生活を10年という月日過ごさないと、そうはならないのだ。ということは、今の日本の子どもたちは、5~8歳の期間から、悪質な食生活を送っていることになる。
そして、その悪質な食生活の主な要因は「5高食品」と呼ばれるものにある。日本の食の危険性については、次回以降のコラムで深掘りしていこうと思う。
では、我々、フードビジネスの業界において「栄養と健康のリテラシー」について話ができる人間が果たして何人いるだろうか。また、食のプロフェッショナルと呼ばれる人間に、本物はどれくらい存在しているのだろうか──この問題は根深い。本来ならば、生活習慣病は、医学のプロである医者に相談する前に、我々、食のプロが対応すべき領域だと考えている。
プロの仕事とは、常に責務と向き合い続けることであり、楽しさとは無縁のものだと思う。だからこそ、砂糖の製法ひとつ、醤油の原料ひとつ、細部にまで向き合っていかなければならないのではないか? そう思うのである。この業界には、学問や教育というものがあまりにも足りていないのが現状なのだ。
僕たちは、お客様の心と身体に直結する食という仕事を生業にしている責務に、本気で向き合わないといけない。美容師には国家資格があり、料理人には国家資格がない。命に関わる仕事に、国家資格がないのだ。
だからこそ、外食に関わる一人ひとりの責任感を養わなければならない。
僕自身も……

●狩野高光(かの・たかみつ)● 1987年1月8日、東京・向島生まれ。株式会社 和音人(わいんびと) 代表取締役、合同会社vinle riz代表、株式会社マルノワホールディングス代表取締役、株式会社ミライーツ社外取締役。28歳のとき三軒茶屋に「和音人 月山」を開業。ドミナント展開を行い、現在では茶屋に飲食店を6店舗、山形の産物を扱う物販ショップを1店舗経営。山形県でワイン用ブドウの栽培を手掛け、将来的にはオリジナルワインの醸造はもちろん、ワイナリー建設も視野に入れる。3次産業から1次産業まで幅広いジャンルでビジネスを展開し、店舗経営だけでなく、講演会活動も行う。また、「日本食文化100年研究会」を主宰し代表を務めるほか、第5世代の若手経営者の勉強会「外食5G」の代表も務める。
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