5月15日号の日本外食新聞は

★外食産業を動かす人々

飲食店の影響力を最大限に活かす
「食を通じた街づくり」が本格始動

RETOWN 代表取締役 松本 篤氏

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食を通じた「リタウン」の街づくりとは?

TUGBOAT TAISHO(タグボート・タイショウ)」プロジェクトの施設外観パース図

リタウン代表の松本さんは、「食に関わる問題解決」をミッションに掲げ、2004年7月に創業。その年の12月上旬に大阪・北浜で運営受託を、その後すぐに同・福島に直営店、そして人材紹介、不動産部門を立て続けに立ち上げた。これらすべてが、ミッションである「食に関わる問題解決」に通ずると、松本さんは語る。
友人や従業員の「のれん分け」を中心とするFC本部も程なくしてスタートさせ、創業1年目に4店舗を出店した。それもこれも「人材紹介や不動産部門を維持するためにキャッシュを回す必要があったから」と松本さんは説明する。
人材紹介をしているうちに、新たな課題が浮き彫りになった。それは例えば毎月200人程度の登録があったとしても、就職が決まるのは80人程度で、残りの120人は決まらない。「業界が好きで働いている人が沢山いるのに、仕事がないのはおかしい」と感じた松本さんは、その原因をつぶさに調べた。すると、その一番の原因が「スキル不足」であることに辿り着く。
「大手飲食企業に10年、20年と勤務しても、包丁を使えない人が多く、ミスマッチが発生していた。最低限の調理技術がないと、飲食業界が好きでも一生働くことはできない。3カ月以内ならば、貯蓄のない人でも失業保険をもらいながら通うことができると考え、3カ月でどこまでレベルアップできるのか、というチャレンジでスタートした」
09年7月1日、グループ会社である「RETOWN HUMAN(リタウン ヒューマン)」は、東京・恵比寿に飲食人のキャリア構築を目的に「飲食人大学」を開講した。「3カ月」の出発点はそこにあったのだった。
寿司から出発したマイスターコースは、現在、寿司、そば・うどん(20日間)、焼鳥(2カ月)の3コースがあり、例えば寿司マイスター専科は3カ月間のコース終了後に、卒業生をいろいろな寿司店に紹介してきた。しかし、すぐには握らせてもらえないため、せっかくのスキルが活かせないといった声が相次いだことから、同社はその受け皿として寿司店「江戸前料理 鮨 千陽(ちはる)」を、14年12月、大阪・福島にオープンした。
「千陽」はオープン間もなく、ミシュランガイドのピブグルマンを取得すると、店長が毎年変わりながらも、4年連続でピブグルマンに輝くという安定的な評価を得たのだった。ホリエモンこと堀江貴文さんが、15年10月にツイッターで「寿司店で10年も20年も修業するのは無駄だ」といった主旨でつぶやいて炎上した、そのネタ元となった店こそがこの「千陽」なのだ。
3カ月間の基本技術習得のみの板前が営業する寿司店が、こうした実績を残すことで、これまで10年以上かかるとされていた修業の常識に一石を投じることになったことは言うまでもない。
「飲食人大学」は現在、東京校、名古屋校、大阪校、そして18年10月にタイ・バンコク校が開講し、計4校体制となった。特に寿司職人の足りない海外での開講ニーズが高いことから、今後は海外でのFC展開も視野に入れるという。……

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