5月25日号の日本外食新聞は

　2015年4月、JR大阪駅直結の商業施設「ルクア大阪」地下2階に「バルチカ」が開業した。増床リニューアルなどを経て、路地裏の人気店やミシュランガイド掲載店など27店舗が軒を連ね、大成功を収めている。
そして今夏には「イノゲート大阪」に「バルチカ03（ゼロサン）」もオープンする予定だ。
なぜ「バルチカ」は人気を博したのか。ルート・寺薗克浩さんが、開発担当のJR西日本・舟本恵さんと出店者の海翔・白井佳之さん、クラマ計画・佐竹伸彦さんに、その秘訣を聞いた（2023年7月5・6日開催の「外食ソリューションEXPO」セミナーを再録）。

「衛生管理の厳しさ系列店も導入」…佐竹さん

寺薗克浩（ 以下、寺薗）　大阪にいる皆さんは実感していると思いますが、商業施設の出店にあたって過去と現在と未来は大きく変わっています。私は大阪駅直結の商業施設「ルクア大阪」にある飲食ゾーン「バルチカ」の成功を見て非常に未来を感じたので、人気店の経営者とディスカッション形式で伝えていけたらと思います。
まず自己紹介します。1983年生まれの40歳です。元々はITベンチャー出身で、2018年にルートに入りました。現在は営業責任者がメインで、「食フェス」開催も担当しています。直近では大阪・京橋で開催した「FOOD SONIC」に携わりました。また、事業外活動として飲食業界の支援活動にも従事しています。
では、今回の登壇者を紹介します。まずは「バルチカ」を立ちあげたJR西日本SC開発開発戦略部部長の舟本恵さんです。
舟本恵（以下、舟本）　私が所属するJR西日本SC開発の「SC」とはショッピングセンターの略です。私はJRの社員ですが、鉄道にはほとんど係わらず、入社以来ずっと商業施設の開発・運営に携わっています。現在はJR西日本グループの新規商業施設開発の責任者を務めています。
以前はアパレルテナントの誘致が専門でしたが、最近はアパレル業界がダウントレンドの一方、飲食業界の商業施設を支える役割が大きくなっており、商業施設を新規開発する時にも飲食の集客力に期待することが多くなったので、最近は飲食業界の中にどっぷりと浸かりながら勉強しています。
後ほど話しますが、大阪新駅ビル「イノゲート大阪」内に24年夏オープン予定の「バルチカ03」の「03」には「おっさん」という意味も込めたので、「バルチカおっさん」とも呼んでいます。
寺薗　次は「ジャックとマチルダ」などを運営するクラマ計画の佐竹社長です。佐竹社長はお酒を一滴も飲めないという特殊な人で、それでも人気業態をたくさん作っている経営者です。
佐竹伸彦（以下、佐竹）　飲食店の経営者としては少し変わっているかもしれないですが、大学で物理を勉強し、バックパッカーが好きでアメリカに住みたいと思い、そのためにどうすればいいかを考え、寿司シェフになれば住めそうだと思い飲食業界に入りました。すごく軽い気持ちで始めたんですが、長い飲食人生になっています。
寺薗　続いて海翔の白井社長です。どの店も行列ができており、何よりも「〇〇だけのお店」というキャッチフレーズが全国を席巻した、他人が持っていない視点を持つカリスマ経営者です。
白井佳之（以下、白井）　白井です。よろしくお願いします。
寺薗　それでは本題に入ります。舟本さんは商業施設のリーシングや立ち上げなど施設側で、…