3月5日号の日本外食新聞は

★外食産業を動かす人々
「効率と付加価値」の両輪バランスで
生産性向上目指し「カイゼン」文化に

宮川商店 代表取締役 星 浩司氏

★トップ記事

●ワイド特集● 《やきとり宮川》が取り組んだ厨房革命とは?
整理整頓こそ生産性向上の一歩だ

「カイゼン」で利益生まれ社員潤う
企業風土にするために意識共有を

「呼吸をするのと同じような、ごく自然な感覚で『カイゼン』をする。トヨタ(効率)とセブン&アイ(付加価値)を合わせたような企業文化を持つ会社にしたい」
宮川商店の社長である星浩司さんは、ビールメーカーのサラリーマンを経て実家の焼鳥屋を継いだ11年前、「天才やカリスマでなくてもできる『カイゼン=進化』」を掲げ、社長に就任した。そして、そのビジョンを実行するに当たり、社員に対して星さんはこう呼びかけ続けたという。
「まず物の置き場をきちんとしよう。一歩、一秒、一工程、一関節、一聞き、一円を削減して、一笑み(=売上)を増やしましょう」
合理化だけでも、付加価値だけの「カイゼン」でもダメ、合理化(トヨタ)と付加価値(セブン&アイ)の両輪を併せ持つカイゼンが必要だと、星さんは強調する。使った物をあった場所に戻すという、極めてシンプルで当たり前の「定置管理(ていちかんり)」を出発点とする「カイゼン」の企業文化をベースに、星さんが取り入れたのはPDCAという言葉ではなく「仮説検証」という言葉の文化だ。星さんがその意図を説明する。
「まず『やってみる』という検証能力が大事だ。どうやって自分たちそれをスコアリング(価値に準じて点数化すること)するかがノウハウになる」
同社では毎日店舗でその日の営業に対する点数をつける。アルバイトも社員も全員だ。点数をつけるときに①加点の理由②減点の理由を明確に示すのがポイントだ。
その採点時に重要になるのは、「自分や他人のせいとかではなく、その日の営業の流れがどうだったかを、みんながプレイヤーの立場ではなく、監督的な客観的立場で見て点数をつける」ことだという。
各店舗の「営業採点ミーティング」は録音して全社員で共有するため、同社の営業報告はそれで終了する。終礼後に改めて書く手間が要らないため時短にも繋がる。
そして、加点と減点の理由を示した「営業採点ミーティング」を毎日やることで、全員の価値観の共有になるという。ベクトルの方向を合わせる重要な日々の作業でもある。この共通価値観がカイゼン文化の上に乗るイメージだ。
こうした日常の「カイゼン文化」の定着に向けた意識付けに加え、月に1回、社長の臨店による「環境整備点検」が行われる。決められた日に臨店するため、各店舗は事前に店なりの点検を行う。
星社長によるチェック項目は、例えばば①使いやすくなっているか②掃除ができているか③定置管理はできているか、といった約20項目からなる。まず……

 

★JF・JF学会/金賞受賞 編

「外食インカレ」初めて開催
大学生が課題解決に新提案

日本フードサービス協会(JF)と日本フードサービス学会(JF学会)は昨年、大学・大学院生を対象とした初のビジネス・アイデアコンテスト「外食インカレ2018」(秋元巳智雄実行委員長)を開催した。次代の外食産業を担う若い世代に外食ビジネスを知って考えてもらい、外食業界の認知度向上と活性化につなげることが目的で、全国の大学から138件の応募があった。髙岡慎一郎・JF会長、菊地唯夫・JF前会長、秋元実行委員長、根岸榮治・JF教育研修委員会委員長、谷澤公彦・JF教育研修委員会副委員長の5人が審査員を務め、1次・2次審査を通過した5大学6グループが最終審査でプレゼンテーションした。その結果、金賞に30万円、銀賞に20万円、銅賞に10万円、奨励賞(3グループ)にジェフグルメカード5万円分が授与された。今回、審査員を唸らせる場面も多く見られた受賞者のプレゼン内容を、3回にわたって再録する。今回は、外食のマイナスイメージを払拭するために、外食のみで健康管理できる仕組みを提案し金賞を受賞した愛知大学3年グループの発表を取り上げる。(全3回掲載のシリーズの1回目)

外食は多くの人からどう捉えられているか。健康面では、外食=不健康とのイメージを持たれることが多い。労働環境の面から見ても、大学生の就職したくないランキングで常に上位を占めるなど、ブラックな業界だと捉えられている。このように、外食産業には強烈なネガティブイメージが存在している。
しかし本来、外食産業は社会インフラを形成する二つの要素「生活の一部」「どこにでもある」を備えている。外食は日本人の胃袋の20%を満たしており、飲食店の数は学校の105倍存在している。つまり、外食はすでに社会インフラとしての条件を備えている。ただ、社会インフラとしての役割を満たしているかと問われると、悪いイメージが先行している。今回、そうしたネガティブイメージを払拭すべく、外食による徹底したプロの健康管理「セルフケア外食」という仕組みを考えた。
日本の伝統的な1日の食事に含まれる22種の食6項目の栄養素を抽出し分析した結果、厚生労働省が定める食事摂取基準に含まれる33項目の栄養素のうち……

★その他の記事
・食品メーカー春の新製品パートⅡ
・ユナイテッド&C、「せんべろ」本腰へ
・福岡県、東京にアンテナR《福扇華》

【連載】
・かみツイート vol.23
・髙取宗茂の外食サムライ道 連載106
・印束義則の繁盛店実況中継 32-① 備長炭焼き鳥 俊
・ソト女の食道楽 9皿目 「タン/焼肉やっちゃん」